夏は玄関のたたきや洗面所のタイルの上、冬はテレビの裏や布団の中。
猫は季節ごとに寝る場所を自分で変えていくので、暑さ寒さの用品は、その猫が選んだ居場所に置いて、季節の変わり目に入れ替えていく物です。
部屋の温度はエアコンなどで整えたうえで、猫が暑ければ涼しい所へ、寒ければ暖かい所へ自分で移れるように、置き場所を何か所か用意しておく考え方が土台になります。
春(3〜5月):抜け毛の季節に、冬物を少しずつ下げる
春は、冬の間に増えた下毛が抜けて、夏の毛に生え替わる時期です。
ブランケットやドーム型のベッドに、ひと晩で驚くほど毛が付くようになったら、ブラッシングの回数を増やす合図です。
下毛がまとまって抜けるこの時期は、表面の毛を集めるラバーブラシだけでは取りきれないことがあり、根元から抜け毛をかき出すスリッカーを足すと、ブラシに付く毛の量が変わります。
春は、暖かい日と冷え込む日が交互に来ます。
冬のドームやブランケットはすぐに片づけず、薄手のマットを隣に並べて、猫がその日の気温で選べるようにしておくと、急な冷え込みにも慌てずに済みます。
猫が冬の寝床を使わない日が続き、薄手のほうで寝るようになったら、冬物を1つずつ下げていきます。

梅雨から夏(6〜8月):涼しい場所を、家の中に何か所も
夏の用品で大事なのは、冷たい物を1つ置くことより、涼しい場所を何か所も作ることです。
猫はその時間にいちばん涼しい場所へ移動するので、1か所だけに用品を集めると、日の向きが変わったときに逃げ場がなくなります。
梅雨は、寝床の湿気に気をつける
梅雨の時期は、布のベッドやブランケットが湿気を吸って乾きにくくなります。
湿ったままの寝床は、においがこもりやすく、猫が使わなくなることもあります。
カバーを外して洗える物を選び、替えのカバーをもう1枚用意しておくと、洗っている間も寝床が空になりません。
床に直接置いているベッドは、晴れた日に壁から離して風を通すだけでも、湿り方が変わります。
冷却マットは、素材で冷え方が違う
冷却マットには、アルミや石などの板、ジェルを包んだマット、ひんやりした肌ざわりの布などがあります。
アルミや石の板は、猫の体の熱を板に逃がす仕組みで、置くだけで使え、電気もいりません。
板の硬さを嫌がる猫には、布のひんやりマットや、ジェルのマットのほうが乗ってくれることがあります。
ジェルのマットは、噛んだり爪を立てたりして中身が出てくると、なめたり飲み込んだりするおそれがあるので、噛む癖のある猫には中身の出ない素材を選んでください。
どの素材も、マットだけで部屋の暑さをしのげるわけではありません。
部屋の温度を整えたうえで、猫が涼をとれる場所の1つとして使います。

日よけと、風の通り道
夏の窓辺は、昼間に直射日光が当たって、思った以上に熱くなる場所です。
窓辺のハンモックやベッドは、日差しの強い時期だけ、日の当たらない側の窓や、部屋の奥に移すと、猫がうっかり暑い場所で眠り続けることが減ります。
窓に日よけを付ける場合は、猫が登ったりぶら下がったりしても外れない付け方にします。
ケージやキャリーを置いている場所も、夏の間は日の当たり方を見直しておきます。
口を開けてハアハアと呼吸している
よだれを垂らしている
ぐったりして呼んでも動かない、ふらついている
こうした様子は熱中症が疑われるので、すぐに動物病院へ電話をして、指示に従いながら涼しい場所へ移してください。
涼しい場所で落ち着いたように見えても、体に負担が残っていることがあるので、熱中症が疑われたときは受診するかどうかを動物病院に判断してもらってください。
夏も冬も、猫を車の中に残して離れないでください。
夏の留守番の日は、涼しい逃げ場を残して
留守にする日は、猫が人の手を借りずに、暑さから自分で逃げられるようにしておくのがいちばんの備えです。
- 寝床を、日の当たる側と当たらない側の2か所以上に用意する
- 水の器を、2か所以上に置く(夏は水の減りが早い)
- 部屋と部屋の間のドアを開けて、涼しい部屋へ行き来できるようにする
出かける前に、猫がいつも寝ている場所に日が差し込む時間帯がないかも、思い出しておきます。
カーテンを閉めて出かけると日差しをやわらげられますが、猫がカーテンの裏の窓辺に入り込んでいないかは、閉める前に部屋を見回しておきます。
秋(9〜11月):夜の冷えを見てから、夏物を片づける
秋は、日中はまだ暑くても、夜や明け方に急に冷え込む日が出てきます。
冷却マットは日中だけ出しておき、夜は薄手のブランケットを寝床に足す、という昼と夜の使い分けが役に立つ時期です。
秋も、夏の毛から冬の毛に生え替わる時期なので、抜け毛が増えます。
窓辺の寝床は、夜になると窓から冷気が伝わってくるので、窓から少し離すか、窓との間に仕切りを置くと、夜の冷えがやわらぎます。
猫が布団の中にもぐり込んだり、人のひざの上に乗ってくる回数が増えたりしたら、冬の寝床を出す合図と考えてよいころです。
去年のヒーターを出すときは、使い始める前に、コードを端から手でなぞって噛みあとや折れぐせがないか、スイッチや本体にひびがないかを調べます。
冬(12〜2月):温める物は、逃げ場とセットで
冬の用品で大事なのは、温かい場所と、そうでない場所の両方を用意しておくことです。
温かい場所しかないと、猫は暑くなっても移る先がありません。
電気を使うヒーターは、置き方の注意が先
ペット用のヒーターやホットカーペットは、手軽に暖かい場所を作れる一方で、使い方に気をつけたい点がいくつかあります。
同じ場所が長い時間、温かい物に触れ続けると、皮膚の表面は熱く感じない温度でも、やけど(低温やけど)になることがあります。
特に、年をとった猫、子猫、体の動きが少ない猫は、熱くなっても自分で場所を変えにくいので注意が必要です。
コードは噛まれないようにカバーを付けるか、家具の裏を通し、ヒーターは寝床の一部だけに敷いて、猫が自分で降りられる場所を必ず残してください。
ヒーターに触れていた場所の皮膚が赤い、毛が抜けた、触ると痛がる、コードを噛んで口を気にしている、といった様子があるときは、動物病院に相談してください。
使える時間や温度の設定は製品ごとに違うので、取扱説明書の範囲で使います。

電気を使わない物で、温かい場所を作る
電気を使わない物なら、コードの心配がありません。
屋根のあるドーム型のベッド、ボアやフリースのブランケット、体の熱を反射して温まる素材のマットなどが、冬の寝床の候補です。
床からの冷えは思ったより伝わりやすいので、寝床を床に直接置かず、厚手のマットを下に敷くか、少し高さのある場所に置くと、冷えがやわらぎます。
昼間に日が差し込む窓辺は、冬は猫にとっての日だまりになります。
窓辺のベッドは昼の間だけ日の当たる場所に置き、夕方には部屋の奥へ戻すと、昼の暖かさと夜の冷えの両方に合わせられます。
湯たんぽを使うときも、カバーで包み、寝床の一部に置いて、ヒーターと同じように猫が離れられる場所を残しておくことが大事です。

冬の留守番の日は、電気を使わない寝床を1つ
冬の留守番では、ドーム型のベッドやブランケットなど、電気を使わない温かい寝床を1つは用意しておくと、ヒーターを使わない日でも猫が暖をとれます。
- 水の器は、冬も2か所以上に置く(冷たい水を飲む回数が減りやすい)
- 部屋と部屋の間のドアを開けて、暖かい部屋へ行き来できるようにする
- 電気を使うヒーターは、留守の間に使ってよいかを取扱説明書で読んでから決める
カーテンを閉めて出かけると、窓からの冷えもやわらげられます。
片づける前に見ておく所
季節の用品は、しまう前に一度、傷み具合を点検しておくと、次の季節に出したときにすぐ使えます。
ブランケット・ベッド:毛玉や縫い目のほつれがないか(ほどけた糸は誤飲につながる)
ジェルのマット:穴や裂け目がないか、中身がにじんでいないか
ヒーター:コードに噛みあとや折れぐせがないか
冷却プレート:角や縁にけがをしそうな欠けがないか
縫い目がほつれた物や、コードに傷がある物は、しまわずにその場で処分するか、買い替えの候補にしておきます。
洗える物は洗って乾かしてからしまうと、次の季節に出したとき、においを嫌がられにくくなります。
次の季節の最初の寒い朝や暑い昼に、すぐ出せる場所にしまっておくことも、猫の居場所を季節に合わせる準備のうちです。




