猫の爪とぎは、やめさせるものではなく、とぐ場所を家具から爪とぎへ移していくものです。
古い爪の外側をはがしたり、においを付けたり、伸びをしたりと、猫にとっては毎日のくらしの一部だからです。
移しやすいかどうかは、今どこを、どの向きで、どの高さで引っかいているかに爪とぎを合わせられるかで変わります。
爪とぎを置いても、家具の傷がまったくなくなるとは限りません。
それでも、場所と形が合っていれば、家具より爪とぎを選ぶ回数は増えていきます。
引っかいている場所で、合う形が分かる
傷の付いた場所を見ると、猫が縦にとぎたいのか、横にとぎたいのかが分かります。
ソファの側面や壁のように立ち上がって前脚を伸ばす場所なら縦向き、床やラグのように体を低くして引っかく場所なら横向きです。
| 傷の場所 | 向き | 合う形 | 素材 |
|---|---|---|---|
| ソファの側面 | 縦 | ポール型 | 麻 |
| ソファの座面 | 横 | 平置き | 段ボール |
| 壁・柱の角 | 縦 | 壁掛け | 段ボール・麻 |
| ドア枠 | 縦 | 立てかけ | 段ボール |
| 床・ラグ | 横 | 平置き | 段ボール |
| 畳 | 横 | 平置き | 段ボール・い草 |
素材の欄は候補の一例です。
同じ縦向きでも、家具に付いた傷のいちばん上の位置を見ると、猫がどこまで体を伸ばしてとぎたいのかが分かります。
縦型を選ぶときは、傷のいちばん上より少し高いところまで届く高さを目安にすると、猫が伸びきっても上が余ります。

子猫の場合は、傷の位置そのものがまだ低く、背の高いポール型だと上まで体を伸ばしきれません。
最初は平置きの小さめの段ボール爪とぎや、背の低い縦型を傷の近くに置くと、小さな体でも全身を使ってとげます。
子猫の爪は細くとがっているので、目の粗い麻や輪っか状のカーペット素材だと、爪が入り込んで引っかかりやすくなります。
子猫のうちは、爪が網目や輪に入り込みにくい段ボールから始めると扱いやすくなります。
体が大きくなると傷の付く高さも上がっていくので、そのときのいちばん上の傷に届く縦型を足していくと、家具に向かいにくくなります。
ソファの側面やひじ掛けを引っかくとき
ソファは、猫にとってちょうど体を伸ばしやすい高さと、爪が引っかかりやすい布がそろった場所です。
ソファをかばいたいなら、爪とぎはソファから離さず、引っかいている面のすぐ前に置きます。
側面やひじ掛けなら、背の高い縦型を横に
側面やひじ掛けでとぐ猫には、麻ひもを巻いたポール型や、背の高い縦型の段ボールが合いやすい形です。
軽い縦型は、猫が体重をかけた瞬間に倒れたりずれたりして、怖がって二度と使わなくなることがあります。
土台が広く重い物を選ぶか、壁やソファの脚に立てかけて固定できる物にします。
倒れたことのある爪とぎは、置き直してもしばらく近づかない猫もいるので、最初から安定した物を選んだほうが、結局は遠回りになりません。
座面に乗ってとぐなら、ソファの上に横型を
座面の上で横向きにとぐ猫もいます。
この場合は、ソファの座面の端に平置きの段ボール爪とぎを置くと、同じ姿勢のままとげます。
座面に置くのが難しければ、ソファの前の床に横型を置き、そこでとげたらほめる、というように場所を少しずつずらしていきます。
壁・柱・ドア枠を引っかくとき
壁や柱の角は、爪が引っかかる段差があり、体重をかけても動かないので、猫がとぎたくなりやすい場所です。
動かない物でとぎたい猫には、爪とぎのほうもしっかり固定されていることが大事になります。
角には、コーナー型や壁掛け型を
壁の角でとぐなら、角に沿わせて立てるコーナー型が向いています。
柱やドア枠なら、柱に巻き付けるタイプや、壁に立てかける細長い段ボール爪とぎを、傷の付いた高さに合わせて置きます。
床からの高さが合っていないと、爪とぎのすぐ上の壁で続けてとぐことがあるので、傷の高さに爪とぎの面が重なっているかを見て決めます。

壁の保護シートを貼る前に
壁には、透明の保護シートや保護パネルを貼る方法もあります。
ただし、貼るシートの種類によっては、はがすときに壁紙を傷めることがあります。
賃貸の部屋では、貼った物をはがした跡がどう扱われるかが契約や管理会社によって違うので、貼る前に契約書の原状回復の項目を読んでおいてください。
両面テープではなく、弱い粘着のシートや、立てかけるだけのパネルを選ぶ人もいます。
床・ラグ・畳を引っかくとき
床でとぐ猫は、前脚を前に投げ出して、背中を低くした姿勢で引っかきます。
この姿勢には、平置きの爪とぎが合います。
床置きの段ボール爪とぎは、消耗品と考える
平置きの段ボール爪とぎは、手に入れやすく、軽く、交換しやすいので、最初の1つにしやすい形です。
使ううちに表面がけば立ち、細かい段ボールのくずが出るので、周りに少し散らかるのは覚悟しておきます。
表面がすり減って爪が引っかからなくなってきたら、取り替えどきです。
裏返して両面使える物や、中身だけ取り替えられる物を選ぶと、ごみが少なく済みます。

ラグやカーペットを引っかく猫には、素材の選び方に注意
ラグを引っかく猫には、カーペット素材の爪とぎも候補になります。
ただ、家のラグと同じような手ざわりだと、どちらも爪とぎだと覚えてしまうこともあると言われます。
ラグを守りたい場合は、ラグとは感触の違う段ボールや麻のほうを先に試すと、とぐ場所の区別がつきやすくなります。
輪っか状の毛が並んだカーペット素材は、爪が輪に引っかかって抜けにくくなることがあります。
爪が引っかかって慌てている様子を見たら、その爪とぎは使うのをやめます。
畳でとぐ猫には、畳の上に置ける平置きの爪とぎのほか、い草を使った爪とぎもあります。
素材ごとの違いを、ひと言で
段ボール:手に入れやすく取り替えやすいが、くずが出て、すり減るのが早い
麻:丈夫で長く使え、ポール型に多いが、ほつれた糸は早めに切る
カーペット:ラグでとぐ猫になじみやすいが、輪っか状の毛は爪が引っかかりやすい
木:くずが出にくく丈夫だが、好みが分かれやすい
どの素材を好むかは、猫によってはっきり違います。
最初から大きな物をそろえず、素材の違う小さめの爪とぎを2つ置いて、よく使うほうを残すと、無駄が少なく済みます。
置く場所は、寝床のそばと、通り道
爪とぎは、猫が起きてすぐ伸びをする場所の近くに置くと使われやすくなります。
寝床やキャットタワーの近く、よく通る廊下の角、帰ってきた家族を迎える玄関の近くなども、とぎたくなりやすい場所です。
家の中の1か所にまとめず、猫がよく過ごす部屋ごとに1つずつ置くと、近くの家具に向かう前に爪とぎが目に入ります。
2匹以上いる家では、好きな素材や向きが猫ごとに違うことがよくあります。
1つの爪とぎを取り合うより、縦型と横型、段ボールと麻のように形や素材の違う物を、それぞれの猫がよく寝る場所の近くに分けて置くほうが、自分に合う物を選べます。
強い猫がいつも使っている爪とぎのそばでは、もう1匹が遠慮してとがないこともあるので、通り道の反対側や別の部屋にもう1つ置いておきます。
どの猫がどれを使っているかをしばらく見ていると、次に買い足す形も決めやすくなります。
古い爪とぎは、新しい物を使い始めたのを見てから片づけると、とぐ場所が途切れません。
置いても移ってくれないとき
置き場所と形を合わせても使ってくれないときは、においと感触を見直します。
またたびやキャットニップの粉が付いた爪とぎや、あとからふりかけられる物もあります。
ただ、反応する猫としない猫がいるので、それだけで決まるものではありません。
今まで縦型でといでいた猫が、ある時期から使わなくなったときは、年齢による体の変化も考えてみてください。
年をとると、後ろ脚で立ち上がって縦にとぐ姿勢が、だんだんつらくなる猫もいます。
その場合は縦型を片づけてしまわず、床に置ける横型や、斜めに立てかけるスロープ型をすぐ横に足します。
体を大きく伸ばさなくてもとげる角度の物があると、年をとってからも爪とぎを続けやすくなります。
とぐ回数が減ると、爪が伸びて丸まり、肉球に食い込みやすくなることがあります。
爪とぎを使う回数が減ったと感じたら、爪の伸び方も合わせて見ておくと、食い込む前に気づけます。
家具でといでいるところを見つけても、大きな声で叱ると、人のいないときにとぐようになるだけのこともあります。
家具でとぎ始めたら静かにそばの爪とぎへ誘い、爪とぎでといだときにほめる、をくり返すほうが、とぐ場所は移りやすくなります。
爪とぎの最中に爪が引っかかって折れた、出血している、爪が肉球に食い込んでいる、脚を痛がるといった様子があれば、動物病院に相談してください。
迷ったときは、いちばん傷の深い家具の、その面のすぐ前に1つ置くところから始めてください。
そこで使ってくれたら、同じ形を別の場所にも増やしていけば、爪とぎの数と置き場所は自然に決まっていきます。




