新しいフードを買ってきたその日に、器の中身を全部入れ替える。
フードの切り替えでつまずきやすいのが、この一度に全部替えるやり方です。
猫は食べ慣れた物のにおいや粒の形が急に変わると、口をつけなかったり、おなかの調子をくずしたりすることがあります。
新しいフードは「混ぜた器」から始めて、器の中で新しいフードが占める分を、段階を踏んで広げていくのが、切り替えの基本の形です。

切り替える前に、そろえておくこと
新しいフードは、小袋かお試しパックで
いきなり大袋を買うと、猫が食べなかったときに残りの大袋を持て余します。
最初は小袋やお試しパックを選び、食べると分かってから大きな袋に移ると、無駄が出にくくなります。
いくつか候補があるなら、小袋を何種類かそろえて、1種類ずつ試していきます。
同時に何種類も混ぜると、食べなかったときや体調をくずしたときに、どれが合わなかったのか分からなくなります。

今のフードの名前と量を控えておく
切り替えの途中で食べなくなったら、今のフードに戻れるようにしておくことが大切です。
今のフードの製品名と、1日にあげている量をメモし、切り替えが終わるまで、今のフードを切らさないように残しておきます。
迎えたばかりの猫なら、前の家やお店で食べていたフードの名前を聞いておくと、戻る先がはっきりします。
目的と成長段階をそろえる
主食を切り替えるなら、新しいフードも袋に「総合栄養食」と書かれた物にします。
子猫用から成猫用へ移るときは、新しいフードの成長段階の表示を見て、切り替える時期は袋の説明や健康診断での獣医の話を目安にします。
高齢猫用への切り替えも、誕生日を迎えたから一斉に替える、という決まりはありません。
硬い粒を残すようになった、食べるのに時間がかかるようになった、といった食べ方の変化を、替えるきっかけとして見るほうが自然です。
療法食への切り替えや、療法食からほかのフードへの切り替えは、自己判断ではせず、動物病院の指示に従ってください。
袋の目的の欄や成長段階の読み方は、「キャットフードの選び方は表示で見分ける、総合栄養食・一般食・間食の違いとドライ・ウェットの使い分け」で言葉ごとに整理しています。
始める時期は、様子を見られるときに
切り替えは、猫の食べ方や便の様子を毎日見られる時期に始めます。
引っ越し、模様替え、家族が増えたとき、ワクチンなどで動物病院に行った直後のように、ほかの変化が重なっている時期は避けたほうが無難です。
食べなくなったときに、フードのせいなのか、環境の変化のせいなのか分からなくなるからです。
出張や旅行の予定がない週を選び、留守番の日が続かないようにすると、途中の変化に気づきやすくなります。
混ぜる割合を、少しずつ変えていく
切り替えにかける期間は、1週間から10日ほどがよく使われる目安です。
これより短くするとおなかの調子をくずしやすく、猫によってはもっと時間をかけたほうが落ち着くこともあります。
下の割合も目安なので、猫の食べ方と便の様子を見ながら、次に進むかどうかを決めてください。
最初の3日ほどは、今のフードを8〜9割、新しいフードを1〜2割ほどにします。
新しいフードだけを器の端に寄せず、全体に混ぜておくと、においの変化に慣れやすくなります。
新しいフードも食べて、便の様子も変わらなければ、次の3日ほどは半分ずつにします。
新しいフードの粒だけ残すようなら、前の割合に戻して、もう少し長く続けます。
今のフードを2〜3割、新しいフードを7〜8割にします。
この段階で、においも粒もほとんど新しいフードになります。
問題なく食べていれば、新しいフードだけにします。
切り替えが終わってからも、1週間ほどは食べる量と便の様子を気にかけておくと安心です。
1日の量は、今のフードと新しいフードを合わせて、袋の給与量の目安に収まるようにします。
新しいフードのほうがカロリーが高い・低いこともあるので、最終的な1日の量は新しいフードの袋の表で決め直します。
ドライからウェット、ウェットからドライへ替えるとき
ドライとウェットは、水分も食感もまったく違います。
同じ混ぜ方でもよいのですが、ドライの粒とウェットを1つの器で混ぜると、ドライがふやけて傷みやすくなります。
器を2つに分けて、ウェットの器の量を少しずつ増やしていくほうが扱いやすいです。
ウェットからドライに替えるときは、硬い粒に慣れていない猫もいるので、小粒のドライから始めると食べやすくなります。
2匹以上いる家で切り替えるとき
1匹だけフードを替える場合は、ほかの猫の器の物を食べてしまうことがあります。
これでは割合を少しずつ変えても意味がなくなるので、食事のときだけ部屋を分ける、器を離して置いて食べ終わるまでそばで見るなどの工夫が要ります。
全員まとめて替える場合も、猫ごとに食べた量と便の様子を見分けられるようにしておくと、合わない猫がいたときに気づけます。
切り替えの間、毎日見ておくこと
| 見る所 | 順調なとき | 気にしたいとき |
|---|---|---|
| 食べた量 | いつもとほぼ同じ | 半分以上残す |
| 便 | 形も回数も変わらない | ゆるい・出ない |
| 吐く | 吐かない | 吐く回数が増える |
| 元気 | いつもどおり遊ぶ | じっとしている |
食べた量は、器に入れた量をキッチンスケールで量っておき、食後に残りを量って引くと、印象ではなく数字で比べられます。
気にしたい様子が出たら、1つ前の割合に戻して、落ち着くまでそこで待ちます。
便が少しゆるい程度で元気も食欲もあるなら、まずは前の割合に戻して様子を見ます。
ゆるい便が続く、回数が増えるときは、下の「切り替えを止めて、動物病院に相談するとき」に当てはまらないか見てください。
食べない・飽きたように見えるとき
新しいフードを食べないのは、味や形が好みに合わないから?
それとも、体の調子が悪くて食欲が落ちているから?
どちらなのかで、することがまったく変わります。
食べ方とほかの様子をあわせて見ると、見分ける手がかりになります。
| 様子 | 好みの可能性 | 体調の可能性 |
|---|---|---|
| 新しい粒だけ残す | 高い | 低め |
| 前のフードもおやつも食べない | 低め | 高い |
| においをかいで離れる | 高い | ほかの様子しだい |
| 吐く・下痢・元気がない | 低め | 高い |
前のフードやおやつは食べるのに、新しいフードだけ残すなら、好みの問題の可能性が高いので、次のように進め方を変えてみます。
- 前の割合に戻して、新しいフードの割合を増やすペースを落とす
- ウェットなら、冷蔵庫から出してすぐではなく、少し室温に置いてから出す(温めすぎない)
- 器に出したまま長く置かず、食べなければ一度下げて、次の食事の時間にまた出す
- 何度試しても食べないなら、その味は合わないと考えて、別の小袋に替える
食べないからといって、おやつを増やして埋め合わせると、主食をますます食べなくなることがあります。
「飽きた」ように見えて、実は前のフードとほとんど違いのない物を選んでいることもあります。
主な原材料(魚か肉か)や粒の形が違う物を選ぶと、好みの違いがはっきりしやすくなります。
フードを替えたのと同じ時期に、器や置き場所、食事の時間も一緒に変えていないかも振り返ってみてください。
器が変わっただけで食べ方が変わる猫もいるので、切り替えの間はフード以外のものはなるべくそのままにしておくと、原因を絞りやすくなります。

切り替えを止めて、動物病院に相談するとき
食欲が落ちた状態が続く、まる1日ほとんど何も食べない
吐く・下痢が続く
元気がない、じっと動かない
前のフードやおやつにも口をつけない
こうした様子があれば、切り替えを中断して、動物病院に相談してください。
猫は、食べない状態が長く続くこと自体が体の負担になりやすい動物です。
「新しいフードが嫌なだけだろう」と様子を見続けず、食べない日が続くなら、早めに受診するほうが安心です。
受診のときは、いつから、どのフードを、どの割合で混ぜていたかを伝えられるように、切り替えの間に割合と日付をメモしておくと役に立ちます。
前のフードに戻すときは、前のフードの割合が多い段階まで戻し、食べ方と便が落ち着いてから前のフードだけにします。
切り替えを中断したあと、また新しいフードを試すときも、前のフードに戻って落ち着いてから、もう一度少しずつ始めます。
そのためにも、新しいフードの小袋と一緒に、前のフードを1袋多めに用意しておくと、いつでも戻ってやり直せます。


