朝に入れた水が、夜になってもほとんど減っていない。
そう気づいたときに最初に分けておきたいのは、体の調子がいつもと違うのか、それとも水飲み場が猫に合っていないのかです。
飲む量やおしっこの量が急に増えた・減った、ぐったりしている、食欲もない、という様子があれば、器を替える前に動物病院に相談してください。
元気も食欲もいつもどおりで、ただ水をあまり飲まないように見えるなら、器・置き場所・数・食事の水分を見直す余地があります。
猫が水を前にしてどう振る舞うかで、見直す先が変わります。

器の前まで来るのに、少しなめて離れていく
水のそばまでは来ているのに飲む量が少ないなら、器そのものに理由があるかもしれません。
縁にひげが当たっている
口の狭い器や深い器だと、顔を近づけたときにひげや頬が縁に触れます。
それを避けるように、少しなめただけで顔を上げてしまう猫もいます。
顔の幅より広く、水面が縁の近くまで来る浅めの器に替えると、顔を入れたときに縁が当たりにくくなります。
水は縁から少し下まで、たっぷり入れておくと、顔を深く下げずに飲めます。
器のにおいや素材が気になっている
プラスチックの器は、使ううちに細かい傷がつき、においや水あかが残りやすくなります。
人には分からないくらいのにおいでも、猫は嫌がることがあります。
陶器・ガラス・ステンレスのように、においが移りにくい素材の器を一つ試してみてください。
1つの素材で変わらなくても、別の素材でよく飲むようになる猫もいるので、素材の違う器を2つ置いて比べるのも分かりやすい方法です。
水が古くなっている
一度入れた水を、減った分だけ足していく使い方だと、器の中にほこりや毛、フードのかけらがたまります。
少なくとも1日1回は水を全部捨てて、器を洗ってから入れ直すと、水の状態を保ちやすくなります。
夏場や、器の近くでフードを食べる猫がいる家では、朝と夜の2回入れ替えると安心です。
前脚を水に入れる、器をひっくり返す
器に前脚を入れて、ぬれた脚をなめて飲む。
器の水をかき出したり、器ごとひっくり返したりする。
こうした飲み方をする猫は、水面の位置が見えにくい、器が動いて落ち着かない、といったことを気にしているのかもしれません。
水を縁の近くまでたっぷり入れて、水面を見えやすくすると、脚を入れずに口をつけるようになる猫もいます。
器が動くなら、重さのある陶器の器にするか、底に滑り止めのある器に替えます。
器の下に縁の立ち上がったマットやトレーを敷いておくと、こぼれた水で床がぬれるのを防ぎやすくなります。
フードの横の水には、口をつけない
フードの器とぴったり並べて水を置いている家は多いですが、食事の場所から離れた水のほうをよく飲む猫もいると言われます。
同じように、トイレのそばの水も、猫が避けやすい場所です。
フードの器から少し離した場所や、別の部屋に、もう一つ水の器を置いてみると、どちらをよく飲むかで猫の好みが見えてきます。
1匹で暮らす猫でも、水の器は家の中の2か所以上にあると、通りがかりに口をつける回数が増えやすくなります。
リビングと寝室、キャットタワーのそば、窓辺など、猫が1日のうちに長くいる場所を思い浮かべて、その近くに置くと決めやすくなります。
増やした器も、入れ替えと洗うのは毎日のことなので、自分が無理なく手入れできる数にとどめておくのが続けるこつです。
置き場所は、人の通り道の真ん中や、洗濯機など大きな音のする家電の横を避けて、猫が落ち着いて顔を下げられる所を選びます。
洗面所の蛇口やコップの水を飲みたがる
洗面台に飛び乗って蛇口の水滴をなめる、人のコップに顔を入れる、お風呂の残り湯をのぞき込む。
こうした猫は、器の水が嫌なのではなく、水を飲む場所や器の形に好みがあるのかもしれません。
- 洗面所で飲みたがるなら、洗面所の床や台の上に器を一つ置く
- コップに顔を入れたがるなら、背が高めで口の広い器を試す(倒れにくい、底の重い物を選ぶ)
- 高い所で飲みたがるなら、棚や窓辺など、猫がよく乗る場所に器を置く
流れる水を好んで飲む猫には、電気で水を循環させる給水器という選択肢もありますが、ここでは電気を使わない器と置き場所の工夫に絞っています。
お風呂の残り湯や、人が飲んでいるコップの水は、飲ませないようにしてください。
入浴剤や洗剤が入っていることがあるので、浴室のふたは閉め、残り湯は早めに抜いておきます。

2匹以上いると、片方があまり飲まない
多頭の家では、水の器が1か所だけだと、ほかの猫がそばにいて近づきにくいことがあります。
器の前でにらまれる、通り道で待ち伏せされる、といった関係があると、弱い立場の猫は飲む回数が減りがちです。
水の器は1か所に並べて増やすのではなく、離れた部屋に分けて置くと、どの猫も誰とも顔を合わせずに飲める場所ができます。
器を置く場所は、部屋の角の奥まった所より、周りを見渡せて、すぐに離れられる所のほうが、ほかの猫を気にする猫も近づきやすくなります。
家の広さにもよりますが、猫が長く過ごす部屋ごとに1つを目安にすると、置き場所を決めやすくなります。

留守の間に、器の水がなくなっていることがある
帰ってきたら器が空になっていた、ということがあるなら、水の量と器の数が足りていない可能性があります。
器が1つだけだと、ひっくり返したり、ほこりが入ったりしたときに、留守の間ずっと飲めなくなります。
長く家を空ける日は、ふだんより大きめの器を1つ足し、別の場所にも置いておくと、どれか1つが使えなくなっても水が残ります。
夏の暑い日は、日の当たる窓辺に置いた器ほど、水がぬるくなり減りやすいので、日陰になる場所を選びます。
寒い時期になると、飲む回数が減る
冬は、水そのものが冷たくなるうえに、器の置き場所が寒い廊下や玄関だと、猫がそこまで行かなくなることがあります。
寒い時期は、猫が日中を過ごす暖かい部屋の中に器を移すか、もう一つ足してみてください。
暖房器具のすぐ前は、器の水がぬるくなりすぎたり、猫がやけどをしたりするおそれがあるので、少し離して置きます。
窓際や床に近い場所は冷えやすいので、床から少し高い棚の上に置くのも一つの方法です。
寒い時期に限らず、季節が変わって飲み方が変わったと感じたら、器の場所を見直すタイミングです。
器を変えても飲まないなら、食事で水分を足す
器や置き場所を見直しても、もともとあまり水を飲まない猫もいます。
そういう猫には、食事から水分をとるという考え方があります。
ウェットフードは水分が多く、食べるだけで水分をとれます。
主食として使うなら、袋の目的の欄に「総合栄養食」と書かれた物を選びます。
ウェットを足した日は、ドライをそのぶん減らして、1日の量が増えすぎないようにします。
スープやゼリー状のおやつにも水分は含まれますが、おやつは袋に書かれた1日の目安の範囲で使うもので、水分補給のために量を増やすものではありません。
ドライとウェットの量の分け方は、「キャットフードの選び方は表示で見分ける、総合栄養食・一般食・間食の違いとドライ・ウェットの使い分け」の中で、量を割合で分け合う考え方として書いています。
どのくらいの割合でウェットを取り入れるかは、猫の体重や年齢、食べる量によって変わります。
体のことで食事の指示を受けている猫は、水分の足し方も含めて獣医に相談してください。
飲む量の変化に気づくための、簡単な記録
「いつもより飲んでいない気がする」は、印象だけだと判断が難しいものです。
3日ほど続けて量を見ておくと、器を替えたときの変化も、体の変化も気づきやすくなります。
器は、顔の幅より広く浅めになっている
水は1日1回以上、器を洗って入れ替えている
フードやトイレから離れた場所にも、水を置いている
猫が長く過ごす部屋に、それぞれ水がある
飲む量・おしっこの量が急に増えた、または減った
おしっこの回数が増えた、トイレに行っても出ていない
元気がない、食欲が落ちた状態が続く、吐く
こうした様子があるときは、器や置き場所の見直しより先に、動物病院に相談してください。
動物病院では、いつから・どのくらい飲み方が変わったかを聞かれることがよくあります。
量って書き留めた数字は、そのまま受診のときの説明に使えます。



