器の真ん中のフードだけ食べて、ふちのほうには粒が残ったまま。
食べるたびに器が床を滑り、気づけば壁際まで押されている。
首をぐっと下げて、前のめりの姿勢で食べている。
猫の食べ方に出るこうした小さな困りごとは、器の素材・高さ・形のどれかを変えると変わることがあります。
素材で迷う前に、まず今の食べ方を見て、困りごとに近いところから選んでください。

食べ方を見ると、器の困りごとが分かる
食事のときの様子と、見直す先をつなげると、次のようになります。
- ふちの粒を残す、器の外にかき出して食べる → 器の形(深さと広さ)
- 器が滑る・ひっくり返る → 器の素材と重さ、底の滑り止め
- 首を深く下げて食べにくそう、食べ終わるまでに何度も顔を上げる → 器の高さと傾き
- がつがつ食べて、すぐに次をほしがる → 早食いを落ち着かせる形
- 器の周りが毎回散らかる → 縁に返しがある形、下に敷くマット
子猫のうちは顔も口も小さいので、小ぶりで浅い器のほうが食べやすく、体が大きくなったら一回り大きな器に替える、という段階を踏む家も多いです。
当てはまるものが2つ以上あるなら、いちばん気になる1つから変えていくと、何が効いたのかが分かりやすくなります。
陶器・ステンレス・プラスチック・ガラス・シリコンを比べる
売り場でよく見かける5つの素材を、選ぶときに差が出やすい点で並べます。
同じ素材でも、厚みや底の作りで重さや安定感は変わるので、表はその素材によく見られる傾向として見てください。
| 素材 | 重さと安定 | 割れにくさ | 傷・におい | 向きやすい家 |
|---|---|---|---|---|
| 陶器 | 重く動きにくい | 落とすと割れ・欠け | 傷がつきにくい | 置き場所が決まっている |
| ステンレス | 軽めで滑りやすい | 割れない | においが移りにくい | 落としても割れない器がほしい |
| プラスチック | 軽い | 割れにくい | 傷がつきやすい | 軽さと手軽さを優先したい |
| ガラス | 重め | 落とすと割れる | においが移りにくい | 水の汚れを目で見たい |
| シリコン | 軽く柔らかい | 割れない | においが残ることがある | 外出先や来客時の予備 |
大きさは、ドライの1回分が入って、縁まで余裕があるくらいが目安です。
大きすぎる器に少しだけ入れると、粒が広く散らばって食べにくくなることがあります。
水の器は、フードの器より一回り大きく、たっぷり入る物を選ぶと、減り方が分かりやすくなります。
洗いやすさで言えば、表面がつるつるで傷がつきにくい陶器・ステンレス・ガラスが、においや汚れが残りにくい側です。

陶器とステンレスで迷ったら
いちばん迷いやすいのが、この2つです。
器が滑って困っているなら陶器、落として割る心配を減らしたいならステンレス、と考えると決めやすくなります。
陶器は重さで止まってくれる反面、床に落とすと欠けたり割れたりします。
欠けた縁は猫の口や人の手を傷つけることがあるので、欠けたら使うのをやめます。
陶器の器を選ぶときは、内側全体につやのある仕上げ(釉薬)がかかっているかも見てください。
ざらっとした素焼きの部分は水や汚れを吸いやすいので、フードや水が触れる面はつるつるの物が扱いやすくなります。
ステンレスは割れませんが、軽い物は猫の鼻先で押されて動きやすいので、底にゴムの滑り止めが付いた物か、重さのある台に乗せるタイプが使いやすくなります。
器に映る影や、首輪の金具が当たる音を気にする猫もいるので、ステンレスにして食べ方が落ち着かなくなったら、素材を戻してみるのも一つの手です。
プラスチックを選ぶなら
プラスチックは軽くて扱いやすく、色や形の種類も豊富です。
弱点は、洗ううちに表面に細かい傷がつき、そこに汚れやにおいが残りやすいことです。
選ぶなら、表面がなめらかで厚みのある物を選び、傷が目立ってきたら早めに替えるつもりでいると安心です。
あごのまわりが汚れやすい、器を替えてから口元の様子が気になる、というときは、器の素材を見直すきっかけにしてください。
口元の赤みや腫れが続く場合は、器のせいと決めつけず、動物病院で見てもらいます。
持ち運びや来客時の予備に
シリコンの折りたたみ式の器は、軽くて割れず、キャリーに入れて持ち出すときや、猫を預ける日の予備に向きます。
毎日の主な器としては、においが残りやすく、軽くて動きやすいので、ふだん使いには陶器やステンレスを置き、シリコンは予備に回す分け方が使いやすいです。
高さと傾きは、首の下げ方で選ぶ
高さは、猫が立ったときの胸のあたりまで
床に直接置いた器だと、猫は首と前脚を大きく曲げて食べることになります。
脚付きの器や食器台で少し高さを出すと、首の下げ方が小さくなります。
高さの目安としてよく言われるのは、猫が立ったときの胸から前脚の付け根(ひじ)あたりです。
高すぎると、今度は首を上に伸ばして食べることになるので、今の器の下に本や板を置いて高さを試してから台を買うと、合わない高さを選ばずに済みます。
シニアの猫や、体の大きな猫ほど、高さを変えたときの食べ方の違いが分かりやすい傾向があります。

食器台を選ぶときに見る所
食器台は、器と台がセットになった物と、手持ちの器をはめて使う物があります。
手持ちの器を使うなら、台の穴の直径と、器の直径が合うかを先に測ります。
台そのものが軽いと、猫が前脚をかけたときに傾くので、台の重さと、底の滑り止めも見ておきたい点です。
子猫から使い始める家や、2匹で体の大きさが違う家では、高さを何段階かに変えられる台だと、成長や猫に合わせて調整できます。
傾き付きの器は、フードが手前に寄る
器の底が手前に傾いている形は、フードが手前に集まりやすく、最後の数粒まで食べやすい作りです。
ふちの粒を残しがちな猫で選ばれます。
傾きの角度は製品によって違い、ウェットフードを入れると手前にたまりすぎることもあるので、ドライを主にあげる家のほうが使いやすい形です。
食後に吐く様子が気になって、高さや傾きのある器を探す人も多いです。
器の高さや形を変えて食べ方が落ち着くことはありますが、吐くことが器で止まるとは言えません。
食べてすぐ吐くことがよくある、吐く回数が増えてきた、吐いたあとに元気がない・食欲がない、という様子があれば、器を替える前に動物病院に相談してください。
形は、ひげの当たり方と食べる速さで選ぶ
浅く広い器は、顔を入れやすい
深くて口の狭い器だと、食べるときにひげや頬が縁に当たります。
それを嫌がるように、器の外にフードをかき出したり、手で取って食べたりする猫もいます。
猫の顔の幅より広く、浅めの器にすると、顔を入れたときに縁が当たりにくくなります。
ただし浅すぎると、食べる勢いで器の外に粒が飛び出すので、縁が内側に少し返っている形だと散らかりにくくなります。
ウェットフードには、少し深さのある平皿
ウェットフードは、平らすぎる皿だとなめているうちに皿の外へ押し出されやすく、深い器だと底にこびりついて残ります。
ふちに少し立ち上がりのある平皿が、なめ取りやすく片づけやすい形です。
ドライとウェットを両方あげる家では、それぞれに形の違う器を用意すると、どちらも食べ残しが減りやすくなります。
散らかる家は、器の下も一緒に考える
器の形を変えても粒が飛び散るときは、器の下にランチョンマットやトレーを敷くと、片づける範囲を小さくできます。
縁が少し立ち上がったシリコンやゴムのマットは、こぼれた水も受け止め、器の滑り止めも兼ねられます。
マットが大きすぎると猫が端を踏んでめくれるので、器の外側に指2本分ほどはみ出す大きさが使いやすい目安です。
早食いが気になるとき
器の中に凹凸や仕切りがある早食い防止の器は、粒が取りにくくなるぶん、一度に口に入る量が減ります。
いきなり凹凸の多い物にすると食べにくさで嫌がる猫もいるので、凹凸の少ない物から試すのが無難です。
2匹以上いて、早く食べ終わった猫がほかの猫の器に行ってしまう場合は、器の形より器を置く場所を離すほうが先です。
フードと水が並んだ一体型の器
フードの器と水の器がつながった形は、場所を取らず見た目もすっきりします。
一方で、食べている途中にフードが水に落ちて、水が汚れやすいという面があります。
水はフードから少し離れた場所に、別の器で置くほうが、水の状態を保ちやすくなります。
水の器の素材や置き場所の考え方は、「猫が水を飲まないときの水飲み場の見直し、器の素材・置き場所・数・ウェットフードの使い方」で症状ごとに分けて書いています。
縁が欠けたり、ひびが入ったりした陶器・ガラスの器
細かい傷が増えて、洗ってもにおいが残るプラスチックの器
滑り止めのない軽い器を、つるつるした床にそのまま置く
買う前に、今の器を測っておく
今の器の直径と深さ(猫の顔の幅と比べる)
猫が立ったときの、床から胸のあたりまでの高さ
器を置く床の材質(フローリング・クッションフロア・畳)
同じ形をそろえたい器の数(フード用と水用、猫の数)
新しい器にしたら、最初の何回かの食事は食べ方を見てください。
ふちの粒を残さなくなった、顔を上げる回数が減った、器が動かなくなったなど、変えた理由の困りごとが軽くなっていれば、その器が合っています。





